リックスカフェ カサブランカ - 2014年11月モロッコ雑感(12)
ハイアットリージェンシーカサブランカから外に出て、地元のレストランでフェアウェルディナーを楽しむこととなった。
バスの中では、懐かしい映画「カサブランカ」の映像が流れている。
一瞬、画面の中に引き込まれ、白黒のシーンの一部になったような錯覚に落いる。バスの中の誰もが「ああ、そうだ、ここはカサブランカだ」と頷く。
土でできた曲がりくねった壁の中をしばらく走ると、突然、薄暗い光が見えた。
アラビア風の服装の男性とレストランに向う。
細い石段登り詰めた時、2階へ吹き抜けになったエントランスホールに足を踏み入れる。
部屋の隅にあるスクリーンでは、ここでも「カサブランカ」が流れている。
このレストランのオーナーは、かつて国連のモロッコ事務所に勤務していたキャシー・クリーガー夫人だ。
国連での任期が終わった時、彼女はカサブランカに留まり、映画「カサブランカ」の「リックスカフェ」のレプリカを開く事にした。
私達のグループは映画に思い出のある世代で、映画から丁寧に再現された雰囲気に身を任せた。
皆がその場、その時間の中にいるような錯覚に陥り、一瞬トランス状態になる。
モロッコでの2週間、何を食べたかは誰も正確に覚えていないが、デザートに出された食べ慣れた味ののチーズケーキの味が私達を現実に引き戻した。
コバルトブルーの光が部屋全体に反射し、サックスとピアノの音色が心地よく響く。
ハンフリー・ボガートが「Play it, again, Sam」と言うのが聞えた。