私の徒然草

この書き留めは己を見つめ直す反面教師

ギリシャ ミコノス島 - 2009年11月地中海にて(3)

ミコノス島に入港する。


第一級の海岸線をもつこの島、常に海賊や外部からの標的であったようだ。


町に出てみる。


細い石畳みがくねくねと続き、観光客相手の土産物が所狭しと軒を連ねる中、多くの観光客で歩くのもままならない。


ふっと、こじんまりとしたショウウィンドウに金で縁取りされたギリシャ模様のキオニスの美しいネックレスを見かける。

 

店の中に足を踏み入れると年子さんという日本人女性が出迎えた。

 

 

故郷の茨城を離れて40年。

 

交換学生としてギリシャアテネに渡ったのが始まりで、アテネから渡し船で二時間のこの島に手伝いきているそうだ。

 

彼女の望郷の念をその勢いの良さの陰に垣間見て胸が痛む。

 

随分働いたであろう。その手をみていると文化の違う所に生涯をかけるのは、自分を矯正するか、殺すしかない。

 

海を右手にでこぼこの石畳を進むと突然、目の前の小高い丘に風車の群れが広がった。

 

風が強い気象条件を味方に小麦を引き、古人は沢山のパンを焼いて居たという。

 

年子さんの案内で風車の裾野にある伊勢海老の専門店に出かけた。

 


前歯の欠けた小柄な男が、5ポンドも有るかと思われる大ぶりの生きた伊勢海老を抱えてきて年子さんに大声で何かを話しかけた。


これ又、大声で怒鳴り返し交渉は成立した様だ。

 

彼女曰く、見せるのと調理して出てくるのは通常、別物で、私が付いて居るから大丈夫と鼻の穴を開いた。


ああ、観光地、此処に生きる者の「一期一会」。


此の人の人生を共有出来る人は少ないだろうけど、その生き様に感動する人は多い筈だ。

 

あの目は尋常ではない。

 

何が彼女をあそこまで頑張らせたのか?望郷?意地?

 

アテネの大使館に本マグロを届けた話。

 

そのお返しが賞味期限の切れたカップヌードル

 

余りに辛すぎる話ではないか?だから彼女は意地で頑張られたのか?

 

日本では海外に嫁に出た娘達は両極端に分かれるようだ。

 

お前が帰ってきても帰る場所も部屋もないと言われる組と町をあげて歓迎される組と海外での成功の度合いが全てを決するようだ。

 

パリに嫁に出たのとギリシャに嫁いたのとでは評価が大きく変わり、日本人の心情をそのまま反映している。